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ドイツ学生ビザ申請の実務 — 封鎖口座から面接予約まで

Sperrkonto の規定額と開設方法(Fintiba / Expatrio 等の比較)、公的保険の選び方、在日ドイツ大使館・総領事館での申請の流れ、予約が取れないときの動き方。


ドイツ留学のビザ情報をネットで調べると、その大半がインドや中国からの留学生向けに書かれたものです。それをそのまま読むと、日本人だけが持っている選択肢を丸ごと見落とします。

まず、そこから書きます。

日本国籍には2つの道がある

日本人は、ビザを取らずにドイツへ渡航し、現地で滞在許可を申請できます。

これは一部の国籍にだけ認められた特例で、滞在令(AufenthV)第41条が根拠です。日本のほか、オーストラリア、カナダ、イスラエル、韓国、ニュージーランド、イギリス、アメリカなどが対象になっています。

つまり日本人の学生には、次の2つの選択肢があります。

A:日本でビザを取るB:ビザなしで渡航し現地で申請
申請先在日ドイツ大使館・総領事館現地の外国人局(Ausländerbehörde)
渡航のタイミングビザ取得後いつでも
入国時点の身分確定している短期滞在(90日以内)
手続きの言語日本語・英語で対応可ほぼドイツ語

インドや中国の学生にはBの選択肢がありません。彼らの体験談を読んで「ビザは渡航前に取るしかない」と思い込む必要はない、ということです。

ただしこれは「Bの方が楽」という意味ではありません。どちらが有利かは、行く都市によって変わります。 次の節で説明します。

どちらを選ぶべきか

判断材料は、実質的にひとつです。行く先の外国人局が混んでいるかどうか。

Aが向いているケース

ベルリン、ミュンヘン、フランクフルトなどの大都市に行く場合は、日本でビザを取っておく方が安全です。

これらの都市の外国人局は慢性的に混雑しており、予約が数ヶ月先にしか取れないことがあります。渡航してから予約を取ろうとして、いつまでも手続きが進まないという状況は実際に起きています。

日本で取っておけば、入国した時点で身分が確定しており、大学の登録も銀行口座の開設もスムーズに進みます。

Bが向いているケース

中小都市の大学に行く場合や、入学許可が出るのが遅く、日本での申請が締切に間に合わない場合です。

小さい街の外国人局は比較的空いており、渡航後すぐに手続きできることがあります。また、在日ドイツ大使館の面接予約も時期によっては数ヶ月待ちになるため、予約が取れないという理由でBを選ばざるを得ないケースもあります。

Bを選ぶときの絶対条件

90日以内に申請を完了させること。 ここは絶対です。

ビザなしで滞在できるのは90日間で、この期間内に外国人局へ滞在許可を申請する必要があります。渡航したらすぐに予約を取ってください。 到着してから探し始めるのでは遅い都市があります。

なお語学学校に通う目的の場合は、そもそも日本でビザを申請できず、現地申請のみとなります。

共通して必要になるもの

どちらの道を選んでも、以下は必要です。

1. 入学許可(Zulassung)

大学が発行する正式な入学許可書です。これが無いと学生としての滞在許可は下りません。

出願から発行まで数ヶ月かかることがあり、ここがスケジュール全体のボトルネックになります。uni-assist の処理が日本からだと6〜7週間かかることも計算に入れてください。

2. 資金の証明(Sperrkonto)

学費・生活費・帰国費用が確保されていることの証明が必要です。最も一般的なのが封鎖口座(Sperrkonto)で、必要額は €11,904(2026年時点、月額 €992 相当)。

繰り返しになりますが、これは取られるお金ではありません。あなたの生活費を前払いで預けているだけで、渡独後は毎月払い出されます。詳しくは費用の記事に書きました。

開設は Fintiba や Expatrio といったオンライン事業者が一般的で、日本にいながら手続きできます。

3. 公的医療保険

大学に登録する時点で、保険加入の証明が必須です。30歳未満で学位課程に在籍する学生は、原則として公的保険に加入します。保険料は月 €141 前後で、TK、AOK、Barmer など、どこを選んでも学生料金は同額です。

滞在許可の発行にも保険が前提になるため、渡航前に手配を始めてください

4. パスポートと写真

パスポートの残存有効期間に注意してください。滞在予定期間をカバーしている必要があります。

日本で申請する場合の流れ

  1. 入学許可(Zulassung)を受け取る
  2. 封鎖口座を開設し、規定額を入金する
  3. 公的医療保険に加入する
  4. 在日ドイツ大使館(東京)または総領事館(大阪)に予約を入れる
  5. 申請書類を揃えて面接に行く
  6. 発給を待つ

4の予約が最大の関門です。 時期によっては予約枠が数ヶ月先まで埋まります。入学許可が出たら、書類が全部揃う前でもまず予約だけ取ってください。

申請料は €75 前後ですが、改定されるため事前に確認してください。

ドイツで手続きする場合の流れ

  1. 渡航する
  2. 住居を確保する
  3. Anmeldung(住民登録)を2週間以内に行う — 賃貸契約書と大家の証明が必要
  4. 外国人局(Ausländerbehörde)の予約を取る
  5. 90日以内に滞在許可を申請する
  6. 大学で Immatrikulation(学籍登録)を行う

3の住民登録が全ての起点です。住民登録が無いと銀行口座も作れず、滞在許可も申請できません。そして住民登録には住居が要ります。

つまり住居の確保が、実質的に最初の関門です。ミュンヘンやシュトゥットガルトでは住居難が深刻で、ここで数ヶ月止まる人がいます。この順序を理解しておいてください。

申請後、許可証の発行までに時間がかかる場合は、その間の滞在を合法とする暫定的な証明書が発行されるのが一般的です。詳細は外国人局で確認してください。

つまずきやすい点

入学許可が出るまでビザ申請ができない。 そして入学許可は出願から数ヶ月かかる。この2つが重なると、想定より遅れます。

封鎖口座の入金には為替と送金の時間がかかる。 直前に動くと間に合いません。

住民登録には住居が必要で、住居探しには時間がかかる。 現地申請を選ぶ場合、ここが実質的な律速段階です。

大都市の外国人局は予約が取れない。 現地申請を選ぶかどうかの判断は、この一点で決まると言っても過言ではありません。

確認すべき一次情報

以下は改定されるため、必ず最新の情報を確認してください。

  • 封鎖口座の必要額(生活費基準に連動して毎年改定されます)
  • ビザ申請料
  • 在日ドイツ大使館・総領事館の必要書類と予約状況
  • ETIAS(欧州渡航情報認証制度)の運用状況 — ビザ免除で渡航する場合に必要になる制度で、開始時期が変更されてきた経緯があります。渡航前に必ず現況を確認してください
  • 志望する自治体の外国人局の予約状況

最も確実な情報源は、在日ドイツ大使館の公式サイトと、渡航先自治体の外国人局のページです。この記事は制度の全体像を示したものであり、個別の手続きの正確性を保証するものではありません。

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